ZIPANG-5 TOKIO 2020 自然智の教え「那谷寺」の紅葉~赤や黄色に色づく木々に彩られた奇岩遊仙境の岩壁~見事な景観を生み出す!(その1)

~那谷寺の紅葉~今が見頃です!
岩肌と紅葉の織りなす風景をご覧ください。


展望台からの眺めは境内最高
「その景色、奇なりて自然なり」地上約20mの展望台からは、奇岩遊仙境を含む那谷寺の境内を一望できます。


燃えるような…奇岩遊仙境の紅葉

観音浄土浮陀落山もこのような風景かと疑わせる奇岩霊石がそそりたち、その足をあらう蓮池の自然絶妙、その昔海底噴火の跡と伝えられます。


  武家書院造り 重要文化財の書院 


紅葉スポットとして有名な那谷寺

加賀市のお隣、小松市にある「那谷寺(なたでら)」は県内有数の紅葉スポットです。
泰澄大師が開いたと言われる高野山真言宗別格の本山で、2017年には開創1300年を迎えました。


山門を通り抜けて境内へ

1300年の時を経て今もなお
那谷寺は、全国的に見てもとても長い歴史を持つ古刹。奈良時代の養老元年(717年)に泰澄大師がご本尊を境内の岩窟に安置したことが始まりで、今日まで“自然智”の教えを守り受け継いでいます。


参詣者をやさしく導く杉…厳かな空気が漂う参道を通り抜けて

那谷寺を再建した利常公は、参道にたくさんの杉の木を植えました。その長さは、小松から那谷寺に至る約10kmとも言われ、御幸街道の一部でもあります。歴史の中で杉の多くは失われてしまいましたが、粟津温泉総湯前に1本だけ「黄門杉」として現存しています。


2015年に「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では1つ星の認定を受けている那谷寺。
普段は侘び・寂びを感じさせる古刹ですが、紅葉の見頃の時期には錦を織りこんだような目にも鮮やかな景色が広がります。 山門をくぐり境内を歩いていくと奇岩遊仙境(きがんゆうせんきょう)が見えてきます。

十一面千手観世音菩薩を祀る金堂 華王殿


遊仙境の横には石の階段があり、いかにも古色蒼然とした唐門が佇んでいます。 唐門から本殿に入るとそのまま岩窟につながっていて、那谷寺御本尊、十一面千手観世音菩薩が安置されています。


朱塗りの楓月橋を渡り景勝を眺める

お参りをすませたら、ぐるりと遊歩道をまわって楓月橋(ふうげつきょう)へ。
「楓月橋」を渡り展望台にのぼれば、絶景が広がります。四季折々の表情を楽しめますが、特に紅葉スポットとして有名でシーズンになると赤や黄色に色づく木々に彩られた岩壁が見事な景観を生み出します。ここからの奇岩遊仙境の眺めはひときわ見事です。


晩秋には落ち葉で境内がまるで錦の絨毯を敷きつめたようになり、見頃の時期とはまた違った風情を醸し出します。


境内には国の指定名勝で山水画のような「奇岩遊仙境」をはじめ、「本堂」、「三重塔」、「護摩堂」、「鐘楼」、「書院」および「庫裡」といった重要文化財があり、見ごたえがあります。

霊峰 白山

那谷寺は「白山」を崇拝し、自然に敬意をはらう「自然智」の教えを今に伝える白山信仰の寺です。717年に泰澄によって開創されました。中世末期の一向一揆ですっかり荒廃してしまいましたが、江戸時代に加賀藩3代藩主前田利常が復興しました。


恋人の聖地「粟津温泉」からもほど近く、縁結びの神様として親しまれる庚申さん※へのお参りができるので大切な人と一緒に訪れてみてはいかがですか。


※庚申さん

邪鬼を踏みつけた憤怒相の庚申さん(青面金剛明王)は、人の体内に巣食う3 種類の悪い虫を抑える神であり、同時にその強いお力で災難除 け、病気平癒、学業成就などさまざまな面で人々をお救いくださると言われています。 そして庚申さんのお使いにはお猿さんがいます。「猿(えん)=縁(えん)」との音から「縁結び」のご利益もいただけるそうです。

「いわや胎内くぐり」がある本殿 大悲閣

岩壁に沿う本殿、「いわや胎内くぐり※」を巡れば、新たな自分に、魂が清く生まれ変わるとされています。貴方も雄大な自然に包まれた寺で心と身体をリフレッシュ出来るでしょう!


※いわや胎内くぐり

古来、洞窟は「岩屋」と呼ばれ、住まいとしても使われてきました。そして、洞窟は死と葬の場でありながらも他界への入口、すなわち母の胎内とも見られ、胎内に籠り、生まれ、また戻って再生をするというはたらきを、現実的にも伝承の上でも負っていると考えられています。実際、縄文時代には住居の入口に死産児を瓶に入れて埋葬し、常にそこをまたいで通る母の胎内に再び生まれることを願いました。

岩屋を巡る「いわや胎内くぐり」を巡ることで、この世の罪を洗い流し、再び母の胎内より新しい自分に白く清く魂が生まれ変わり、出直すことを祈ることになります。黄泉から帰り、禊をして清まる。あの世からこの世に生まれるという魂の輪廻転生を感じ取れることでしょう。


白山信仰自然智の森

那谷寺

雲海の彼方から昇る「日の出」 白山頂上にて 


清らかである白き神々の座「しらやま」に魂が昇り、地上に回帰する——加賀には古くから白山信仰が根付き、自然の神を崇めてきました。自然そのものが生きとし生けるものにつながり、その中で人は生かされて、ここに在るのです。

自然智の教えを象徴する名勝 奇岩遊仙境

境内にそばだつ岩山の多くの洞窟は、魂がよみがえり、白く清められる聖地です。美しい自然に融けこんでいく「私」を感じるところなのです。
緑樹の影や苔むす参道を通って、四季のうつろいを感じていただけますように。 合掌


開創の物語

この地は弥生時代より管玉の材料である碧玉(へきぎょく)の産地でした。財部(たからべ)一族が住んでいて、洞窟は祭祀場でもあったでしょう。1300年の歴史を遡れば、養老元年(717年)に泰澄が那谷寺を創建したと伝えられています。ここでは那谷寺の歴史に関わった人を御紹介します。


奈良時代

越の大徳(たいとこ)「泰澄」


白鳳3年(682年)6月、越前(福井)に誕生。36歳の時に天女に誘われて養老元年(717年)白山へ禅定しました。九頭龍王が現れ、頂上では姫神の菩薩、他の二山では大己貴神と白山別山大行事が現れ、深く礼拝されました。


泰澄開創の社寺は多くありますが、同年秋に岩屋寺(那谷寺)を開き、弟子とともに粟津温泉※を養老2年(718年)に発見し、薬師如来をお祀りしました。


※大王寺(あわづ温泉)

あわづ温泉の守護寺です。真言密教の寺で、約1300年前の養老2(718)年に泰澄大師(泰澄神融禅師)によって開かれました。

霊告に従い粟津の地を訪れた泰澄大師は、村人とともに温泉を掘り当てました。
この時、その力に感嘆した住民の請いに応じて、泰澄大師は首に掛けた掛佛薬師如来と自ら刻した聖観世音菩薩を守護仏として残し、「泰應寺(たいおうじ)」と名付けました。これが開創の由来です。


本堂には本尊である一寸八分の掛佛「薬師如来」が、聖観音の円後光の中央上に掛けられ、貴重で稀なる秘仏として安置されています。


天平2年(730年)に吉野山現光寺で法相宗の山林修行「求聞持法(ぐもんじほう)」と「自然智行」を実践しました。神護景雲元年(767年)越知山大谷寺の岩窟で86歳で遷化されました。


平安時代

「花山法皇」の行幸の伝説


寛和2年(986年)、右大臣藤原兼家の謀事によって出家させられ、書写山円教寺や比叡山で修行、熊野へも巡拝、永祚(えいそ)元年(989年)北陸へ旅立たれました。同行する者は3名の従臣だけでした。まず白山へ登られ、次いで小松地域の寺を訪ねられ、最後に岩屋寺(那谷寺)を参詣されました。花山法皇は(西国三十三所※の)那智山と谷汲山からそれぞれ一文字ずつ「那」と「谷」を取り、那谷寺と改名されたと伝えられています。


※ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~令和元年日本遺産認定~「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」

https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/6291655/


那谷寺は温谷寺(うだにでら)・栄谷寺(さかえだにでら)とともに、天台宗白山三ヶ寺と言われました。
後に「源平盛衰記」「白山記」などでは、那谷寺の寺院名があります。


室町時代

「大内義隆」メノウを乞う


那谷の地はオパール、瑪瑙、水晶などが産出しており、那谷寺の観音堂には12個の瑪瑙を有していました。これを周防国(山口県)の31代大内義隆が所望したため、真宗本願寺の証如が那谷寺へ依頼、5個の瑪瑙を送り、遣明船で明国へと献上しました。


南北朝と戦国時代に那谷寺は3度も焼かれましたが、僧義円や霊山寺即伝などが訪れ、密教修験の道場となっています。密教修験と真宗は対立関係にありましたが、那谷寺は証如と結びついていたようです。


31代大内義隆は、日本にキリスト教を伝えた宣教師フランシスコ・サビエルに、最初に布教の許可を与えたことでも知られています。その拠点として大道寺も与えたのでした。山口市は、サビエルの出生地スペインのフランス国境に近いナバラ州パンプローナ市と姉妹都市として、現在も交流が続いています。


江戸時代

「前田利常」の手厚い復興


戦国・安土桃山時代に那谷寺は火災に遭ったため、衰退していました。その中で、寛永17年(1640年)春、黄門職として小松城に隠居していた前田利常公※が粟津付近にお鷹狩りに来て、那谷寺を見つけました。寛永19年(1642年)にかけて集中して、本殿、唐門、拝殿、三重塔、護摩堂、鐘楼堂および庭園などを造りました。また、復興の折に那谷に通じる参道も整備、両側に杉の木を植えたことから「杉の木街道」と称されました。今も粟津温泉に利常公お手植えの杉「黄門杉」が残されています。


万治元年(1658年)10月、利常公が66歳で逝去。利常公没後、那谷寺は大聖寺藩の管轄となり、また同藩寺社方触頭となったため、那谷寺文書に「宗門改帳」「人別帳」「御触留記」が残されています。


前田利常公の肖像画 那谷寺 蔵 


加賀藩250年の歴史の礎となった、加賀2代藩主であり前田家3代目、前田利常公の肖像です。寛永3年(1626年)8月に従三位権中納言に任ぜられた後、金沢城を嫡男の光高に譲って小松城に移り、那谷寺を中興しました。「政治は一加賀、二土佐」と讃えられるほどの名君として名高く、当寺に伝わる肖像画は利常公在世時代における唯一の肖像画です。


自然智(じねんち)

1300年の歴史の中で、那谷寺は白山を拝し、神仏を共にお祀りしてきました。そのため九頭竜王の本地である十一面千手観世音菩薩、白山比咩神、そして魂が「ウマレキヨマル」儀式の場である自然の岩山洞窟をご本尊としています。


泰澄大師坐像 文化庁 蔵


那谷寺を開創した泰澄が居た時代は、神と仏、両方を受け入れやすかった頃と言われています。当時、奈良の吉野山で渡来僧の神叡が「虚空蔵求聞持法」と「自然智行」を伝授していました。泰澄はそれを修し、実践して今に至っています。


自然智は小さな草庵や岩屋の中で、自然より得られる生まれながらの智恵を求める行です。那谷寺は深山で緑に包まれ、岩屋を有していたため、自然智の道場となりました。自然とは「自ずから然る」。神も仏も宇宙の法則に帰す、「自然こそ神仏」の教えを大切に守り続けています。


神道火祭り

日本古来の祈りの儀式、神道火祭りは国内では唯一那谷寺のみ行なっています。白山信仰を受け継ぎ、自然智の教えにより霊峰白山を遥拝しています。


自分の、あるいは人のための願いや想いを書き記した「符」を、那谷寺本殿内の十一面千手観世音菩薩にご祈祷します。次いで、那谷寺より約8km離れた役行山生雲(えんぎょうさんいくも)祈願所にてご祈祷し、願いの符をお焚き上げします。この煙が天に昇り、霊峰白山の神々へとお届けし、魂を鎮め、心を平安にするのです。さらにはその向こうにある宇宙世界の曼荼羅の神仏たちへもお届けされ、お守りされます。


役行山生雲祈願所では、泰澄が会得した「自然智」を古代神道の伝統を守る神道火祭りとして現し、さらに瞑想場も設け、白山信仰を守りながら「神は自然なり」の摂理を実践しています。


那谷寺へのアクセス

車の方

富山方面から▶小松ICで降りて約30分  福井方面から▶加賀ICで降りて約30分


飛行機の方(小松空港)

小松空港より▶小松空港〜(路線バス)〜小松駅or粟津駅へ 
※小松駅(or粟津駅)からのアクセスは「電車」の項目を参照


 電車の方

JR北陸本線で粟津駅へ
※小松駅、加賀温泉駅からでも那谷寺へアクセス可
※北陸新幹線利用の場合、金沢駅で下車 


バス・タクシーの方

加賀温泉駅より▶
加賀温泉駅〜(JR)〜粟津駅〜(小松バス/粟津A路線)〜那谷寺
加賀温泉駅〜(加賀周遊バス キャンバス/山まわり線)〜那谷寺
タクシーで約20分 



続く・・・



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使



協力(順不同・敬称略)

白山信仰自然智の森「那谷寺」〒923-0336 石川県小松市那谷町ユ122 TEL 0761-65-2111

一般社団法人 加賀市観光交流機構
〒922-8622 石川県加賀市大聖寺南町二41 加賀市役所 別館4階 TEL 0761-72-0600

加賀市観光情報センター
〒922-0423 石川県加賀市作見町ヲ6-2 JR加賀温泉駅内 TEL 0761-72-6678

公益社団法人石川県観光連盟
〒920-8580 石川県金沢市鞍月1丁目1番地TEL:076-201-8110

石川県名古屋観光物産案内所
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄4丁目16番36号 久屋中日ビル3階 TEL:052-261-6067

環境省 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 TEL 03-3581-3351

文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)  



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ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)

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ZIPANG-5 TOKIO 2020

2020年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、神社仏閣、祭礼、伝統芸能、風習、匠の技の美、世界遺産、日本遺産、国宝等サイトを通じて平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

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