福島県の桧枝岐村
福島県の南西にある桧枝岐村。人口500人強の小さな村ですが、尾瀬湿原や燧ヶ岳、会津駒ヶ岳などへの登山の拠点として、多くの登山客が訪れて賑わいを見せています。そのため、温泉宿が多く、また、日帰り温泉施設も「アルザ尾瀬の郷」、「燧の湯」、「駒の湯」の三つがあります。特に温水プール付きのアルザ尾瀬の郷は、桧枝岐村の道の駅である「道の駅尾瀬桧枝岐」に併設されていますので、なにかと使い勝手があります。
鎮守神社
その桧枝岐村中心部に鎮守神社があり、その境内では江戸時代から続く村民による奉納歌舞伎が行われています。毎年5月12日、8月18日、9月第一土曜に行われ、野外席にも関わらず多くの観客で賑わいます。その兜造りと呼ばれる舞台は国の重要有形民俗文化財に指定されているほか、歌舞伎自体も「桧枝岐歌舞伎」として福島県の重要無形民俗文化財に指定されています。
橋場のばんば様
この鎮守神社の参道沿いに橋場のばんばと呼ばれる姥神像が祀られています。その像容は片膝立ちで鎮座し、胸をはだけており、まさしくこれまでの姥神像と同じです。ただし、顔は摩耗しており、よくわからないですが、笑っているようにも見えないこともありません。
笑っている絵馬
奉納されている絵馬にも、優しく笑っているばんば様が描かれています。
ばんば様のお堂
お堂脇の石橋
祀られているお堂のそばには石橋がかけられた池もあり、「橋場」を強調しています。
今はコロナ禍のため、ばんば様もマスク姿
橋場のばんば様は、もともと子どもの水難にご利益があり、その他にも縁切り、縁結びに霊験があるようです。縁が切れないようにするには切れないハサミを奉納し、縁を切りたい時は新品のハサミを奉納します。また、頭にお椀を乗せるとどんな願いでも叶うとされています。
絵馬の裏側
このお堂には、絵馬を近隣の店で購入し、願いを書いて奉納できるようになっていますが、縁切りの時はわざと割って奉納するとのことです。絵馬の裏側を見ると、割りやすいようにわざと溝が切ってあります。
橋場のばんばのルーツは
橋場のばんばという名前から、川岸にいるババア、三途の川の奪衣婆を連想することもできますが、水難に霊験があったという信仰や「橋」が強調されていることから、もともとは橋姫※信仰として祀られていたのではないかと考えられます。
橋姫※については、京都府宇治市の宇治橋そばに橋姫神社があり、橋を守るほか、縁切りの霊験があるとされています。ここから、橋場のばんば様も橋や川の守り神として水難除け、縁切りだけでなく縁結びにもその霊験が広がっていったのではないかと考えられます。
また、橋姫信仰からの発展だとしても、その像容が同一であることを鑑みると、もとをたどれば姥神信仰として祀られたものだったものが橋姫信仰と結びついたという可能性は高いと言えます。
※橋姫については、そのほかも含め次回詳しくご紹介いたします。
続く・・・
寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家
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発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)
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