~デザイン・色彩の基本~
千葉県旭市 新市庁舎正面入口市民ロビー
国も地域も衰退するわが国では、地方分権的自発性が成熟社会の今後のサバイバルに大切である。 その一例として行政の中心である庁舎は、地域の誇りと郷土愛で未来に向けて、前向きに市民目線で取り組むことである。
公共建築においても、わが国の人工景観は白黒グレー自然素材色が揺るぎない最も美しい伝統であり、その上に未来を見据え楽しく賑やかに個性が表現出来れば上々である。 先ずはつい最近竣工した千葉県旭市の新庁舎をそのスタデイとして示したい。
新市庁舎は 天空海大地 風土伝統に馴染む力強い姿に
デザインも色彩も 序破急 1・2・3段階で構築
1:本の表紙のようにコンセプト・ビジョンを明快に。
2:次は目次 。
3:目的の本題にゆったりと誘導する。
まず建物は
1:日本の風土伝統、色は白黒グレー自然素材色
2:正面寄り付きは九十九里浜の湾曲と白砂青松で市民の心の融和を図る。
3:大地の水平と打ち寄せる太平洋と、水平線と曲線で未来を見据えてテーマであるオンリーワンらしいユニークな形の新市庁舎の姿になった。
変哲も無い考えだが何事ものべつまくなしより整理出来る。あとは自由にそれぞれ想いを語れば良い。
無彩色空間とシンボルカラーの受付カウンターの赤と柱の紅色
入り口から一階ホールに一歩入ると、どこから見ても分りやすい中心に案内カウンターとシンボル柱があり、左手には明るい東南角にくつろげるピアノ空間、右側1・2階が市民スペースである。
真ん中の案内カウンターは旭の赤、シンボル柱は椿の海の伝説の真紅の椿の花の色、その上に各階層のテーマカラーを表示した。
1階は旭の色赤、2階は緑の農地と大地、3階は太平洋と空の青、4階は文化と議会の智の江戸紫、5階は機械室、6階展望階は安心感と未来を見晴るかすライトグレーに。
真っ赤なカウンターと柱は問題だったが、出来て見ればすぐに見慣れる。合言葉は日本一から、オンリーワンへ。ビジネス語のフィードバックで目的は達成できる。
風土・伝統・伝説と、抽出した日本の景観色彩の基本に従い構成した色彩計画表
各階層のテーマカラー
ピアノコーナー 天井の高いゆったりとする環境はこれから必要
議場は木質の感触と青で 穏やかな格式と理想に満ち 審議に集中できる
長大な外部景観を内部空間に活かし落ち着いたオフィス環境の構成
景観・環境は半径1キロを視野にSDGsに取り組もう
景観はどこまでも広がるが、プロジェクトは風土・伝統・未来を第一に、少なくとも1キロ先までを視野に調和を図ろう。地域が共有する習慣や、大切にすべき風景、古き良きもの、そして自然環境を引き立てることがこれからのSDGsの基本でもあり、筆者がデザインの基本として来た思想である。
旭市は東総台地と太平洋に囲まれ、はるか西に富士山、南に太平洋九十九里の海、東に市街地と台地、北に干潟8万石を望むところにある。
子供の頃広い田畑の遥か西の彼方に、真っ白な富士山を見ながら学校へ通った、戦後暫くは空気が透明であった。
議会の上の機械室のその上に、ゆったりとした展望回廊は合併前の旧市町村の故郷を見渡し、市民の心に融和と誇りが育まれる事を願う、あさひビュ−360が出来た。
憩いの展望空間 あさひふるさと360度展望回廊
子育て支援センターなど市民スペースは四季の花々が見える陽当たりの良い1・2階にある
市民の安全・安心を支える取り組み
1. 耐震性 ・耐震構造で構造体の補修をせずに庁舎継続使用を考慮。
2.業務継続に重要電源を72時間確保非常用発電機設備を設置。災害時諸室の空調、ガス熱源空調空調機能。
・3日分の雑排水・汚水貯留非常用排水。
・政策決定室を災害対策室に各室を機能転換。
・超軽量天井材で落下危険性を低減。
・非常用発電機による電気供給コンセント、照明を想定場所に設置。
・大雨対策は仁玉川上端からは1階床は約70cm高くし対応。電機設備など主要な設備を上階に設置。重要書類は耐火書庫に保存。
・空調・換気設備は自然換気の出来る開閉窓を四周に設置。
3.広域避難場所指定の文化の杜公園と連携、防災拠点と物資供給ターミナル
・1階市民ホールは救護支援エリア転用。
次号
「風土伝統と市民生活環境について」に続く・・・
前回の林 英光氏寄稿文は下記アーカイブ リンク記事をご覧ください。
ZIPANG-5 TOKIO 2020 ~ 早春譜から惜春譜へ ~ アフターコロナへのお膳立て 色彩環境 ー1 ・・・【寄稿文】林 英光
https://tokyo2020-5.themedia.jp/posts/16729009
【寄稿文】林 英光
環境ディレクター
愛知県立芸術大学名誉教授
協力(順不同・敬称略)
千葉県 旭市役所
株式会社 横河建築設計事務所
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発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)
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