ZIPANG-5 TOKIO 2020神と人と自然が融け込む古の佇まい「元伊勢内宮 皇大神社 」を訪ねて(その1)



皇大神社について

ご祭神


天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)
高天原の神々の中の最高神であり太陽の神。皇室の御祖先の神であり、私たち国民の総氏神です。日本書紀によると、お生まれになった時、「光華明彩(ひかりうるわ)しくして、六合(くに)の内に照り徹る」と称えられ、この上なく輝かしい存在として、また神々の世界を治める日の神としても伝えられています。

ご利益は、国土安泰、五穀豊穣、生命力向上などあらゆることに神徳を発揮されます。


ご由緒


伝承によれば、第10代崇神天皇39年(西暦紀元前59年)に、「別に大宮地を求めて鎮め祭れ」との皇大神の御教えに従い、永遠にお祀りする聖地を求め、それまでお祀りされていた倭笠縫邑(現奈良県桜井市三輪)をお出になったといわれます。


まず最初に但波(丹波)へお遷りなり、そのご由緒により当社が創建されたと伝えられています。皇大神は、当地に4年お祀りの後、さらに諸所を経て、垂仁天皇26年(西暦紀元前4年)に、伊勢の五十鈴川上の聖地(今の伊勢神宮)にお鎮まりになりました。 (上記の丹後内宮全図は、舞鶴市所蔵)


こうしたことから当社は伊勢神宮内宮の元の宮として、「元伊勢内宮」あるいは「元伊勢皇大神宮」「大神宮さん」などと呼ばれ、今も庶民の篤い信仰が続いています。


天照皇大神

天照皇大神は、大国主命から譲り受けた豊葦原千五百秋瑞穂国(日本国)に、孫の瓊瓊杵尊が天降るとき「三種の神器」と「三大神勅」を授けられました。


瓊瓊杵尊は、そのご神勅に従い「三種の神器」の一つ「八咫鏡」は皇大神のご神体として宮中におかれ、それ以降、崇神天皇の御代までお祀りされてきました。


しかし、崇神天皇の6年、「皇大神の勢いを畏りて、ともに住みたまふに安からず」とされ、宮殿の外にお遷しし、倭笠縫邑にお祀りされることになりました。その地に33年間お祀りされたのですが、上記のように、皇大神の御教えに従い、永遠にお祀りする聖地を求める旅に出られることになったのです。


ご本殿


茅葺の神明造り。千木は内ソギで堅魚木は10本。左右に棟持柱があります。基礎に台石を用いる他は、伊勢神宮の古制と同じです。


また、神宮は20年毎に遷宮がありますが、当社には60年毎の式年造替の定めがあります。明暦2年(1656)の社殿造営にあたり丹後国主源朝臣京極高国が修築をしたことを記した棟札も残っており歴代藩主等の尊崇を受け行われてきました。


しかし、明治5年(1872)に造営されて以後途絶え、ようやく138年後の平成22年(2010)に平成の大改修が行われました。 当神社の本殿の裏側には扉があります。遙拝形式の社殿で、かつては来訪神の信仰があったことがうかがえます。


榎のご神木


昔、当社には、神霊の憑代として崇められた大榎があったといわれています。京都あたりの人々は乾(西北)の庭に榎を植えて福榎と呼んで珍重されていたそうです。乾の方向には元伊勢があり、その大榎にあやかり家門繁栄を願ったといわれます。当社では61年目のご改造毎に神殿の御立柱は榎と定められ、今も榎が用いられています。


これにかかわり、昭和62年3月15日、榎祭りを行って4本の榎のご神木が復活しました。ご本殿左右の日影榎(ひかげのえのき)と水影榎(みかげのえのき)はお伊勢さんよりヘリコプターでお遷りになりました。広前には、大直日榎(おおなおびのえのき)(大本教献木)、変若水榎(おちみずのえのき)(世界救世主教献木)が植えられました。


元伊勢まいりの今昔


2千年前には、この地は大江山を中心とする丹後山地の大原生林の一角で、人跡未踏の秘境であったと思われます。庶民の参拝が始まったのは鎌倉・室町・戦国の頃からと推定されますが、徳川時代には参勤交代の通路になったため、宮津藩主の尊崇を受け、急に広く崇敬の輪をひろげました。


明治期まで、年間の参拝者8万人と記されており、麓には宿屋が10軒もあり、茶屋、土産物店が軒を並べていたといいます。当時は由良川の舟が利用され、船着場から約4キロ歩くだけでしたので老若男女を問わず大勢の人がお参りしたようです。その舟便が途絶えた関係もあり、大正から昭和30年代頃までは参拝者も激減し、元伊勢も衰退の一途をたどりました。


そして、昭和40年代後半頃から交通網の発達によって、再び元伊勢まいりが盛んになりました。一般的な観光客よりも、熱心な崇敬者や宗教団体のお参りが非常に多いのが特色の一つです。


境内案内

脇宮


左殿(向かって右):天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)
天照皇大神が天の岩屋にお隠れになった時、戸を開いて皇大神を連れ出した大力の神。技芸上達、スポーツ向上などの神様とされます。


右殿(向かって左):栲機千々姫命(たくはたちぢひめのみこと)
高天原から葦原中国(日本国)に降臨した瓊瓊杵尊(天照皇大神の孫)の母神。織物の神様として信仰される他、安産、子宝などの神徳をもつとされます。


小宮


80余の小宮が、ご本殿を中心に、前後左右を囲む。皇大神ゆかりの摂社の他、全国一宮など有験の社を集め、八方詣(八方除参り、八方開き参りともいう)などの信仰があります。


かつて、節分の夜には裸参りの風習もあり、多くの方が参拝し、一つ一つの小宮にお参りし四方八方の厄を取り除き新しい年(立春)を迎えました。現在でも節分や年末年始など多くの方が八方詣をされます。


 黒木の鳥居


 正面鳥居は、樹皮のついた丸太のままの木で造る最も素朴で原初的な様式の鳥居で、全国的にも珍しく、これを「黒木の鳥居」といいます。当神社では杉を用いています。


龍灯の杉


樹齢2千年と伝えられるご神木。この巨木の梢に節分の夜、丑三つ時になると龍王が龍宮から天照皇大神に神灯を捧げるという神秘な伝説があります。その灯は、下枝から次第に上枝へと昇ってやがて天に至ると伝えられています。



この杉に隣接して龍神の磐座がお祀りされています。
昭和37年秋の火災と平成3年秋の台風被害により枯死寸前でしたが、平成6年樹勢回復施術を行うとともに、長寿の遺伝子を持つ小枝を採取、接ぎ木・挿し木で若木を誕生させました。この若木は、親木の傍らに根づき、その命を継承してご神威とともに未来に向け悠遠の時を刻むことでしょう。


 表参道と麻呂子杉


表参道は300m。220段に及ぶ自然石の石段が続いています。左右は深い神秘な森と天を摩する大木。


麻呂子杉は、聖徳太子の御弟麻呂子親王が、丹後国与謝郡河守庄三上嶽に棲む英呉、軽足、土熊という3人の凶賊を追討された時に、当社に詣でて御手植えになったのが3本杉といわれています。


樹齢千年以上と伝える古木で参道に聳え立っています。もとは3本杉でしたが、落雷等で枯死し、今は1本となっています。


この麻呂子杉は、京都府の「天上の木」10選に選定されています。 なお、ご神木にお賽銭を挟む行いは、ご神木を痛めその木の寿命を縮めてしまうことになりかねませんので、おやめください。


御門神社

 

奇岩窓神(くしいわまどのかみ)・豊岩窓神(とよいわまどのかみ)を祭る。
この神様は、天岩戸を守る御門の神で、四方四隅、上下、八方十方からくる悪邪の厄を防ぎ祓い却け、しかも、出入りする者のあやまちを直してしまわれる厄神さんの本宗です。


 ►カネの鳴る石


御門神社の向かって左にあります。小石で打つとカーンカーンと金属音がします。厄除けを祈りながら打つと厄が祓われます。また、金運の御利益があるともいわれています。


御若叡(みわかえ)の森の御庭


►さざれ石・君が代碑

昭和天皇御在位60年を記念してこの御庭ができました。君が代の歌の中にある「さざれ石」という珍しい巖が奉飾されています。


►御製碑

昭和天皇の自然環境保護におよせになる御心を詠まれた御製を謹刻したもの。篤志家により、平成8年天皇御誕生日の佳節に、太古の森が保全されているこの御庭に奉飾されました。


さざれ石の由来

「君が代」の歌に唱われた「さざれ石」は、石灰岩質であり、成長する奇岩です。大小の石を凝集して巨岩をつくっていきます。そのめでたさを托した名歌が少なくありません。


「君が代」の歌はもと、惟喬親王にささげた「わが君は」の歌を元歌としてできたといわれており、『古今和歌集』(延喜5年)に収められています。このさざれ石は、岐阜県揖斐の山中から産出したものです。


ヘソ塚と和泉式部の歌塚


ヘソ塚は、昔へその緒をおさめ、長寿と健康を祈りました。塚の上には椎の大木が聳えています。式部の夫は丹後守。娘は小式部といい、


「大江山いく野の道の遠ければ、まだふみも見ず天の橋立」


というあの有名な歌を詠みました。



元伊勢内宮境内図



※境内図をクリックすると拡大表示できます。


交通のご案内

●車でお越しの方

京都縦貫道「舞鶴大江IC」から20分(府道532号経由)

舞鶴若狭自動車道「福知山IC」から40分 

●電車・バスでお越しの方

電車 福知山駅で京都丹後鉄道(宮福線)に乗換「大江山口内宮駅」下車 徒歩15分

バス 福知山市営バス(大江山の家線)「内宮上」バス停下車 徒歩13分


※ 車でお越しの方のうち、ご高齢の方や車いすをご利用の方など、参道を歩くことが困難な方は、西参道から車で授与所まで行くことが可能です。ただし、すれ違いのできない急な坂道になっていますので、事前にお電話を…(0773-56-1011)。 


参拝のご案内

授与所は8:00~16:00ですが、参拝はいつでも可能です。

参道は約300m、220段に及ぶ自然石の石段と坂道が続きます。休憩しながらご参拝ください。 駐車場は、民間の駐車場(有料)があります。

神社まで 駐車場から徒歩10分 大江山口内宮駅(電車)から徒歩15分です。  



次回に続く・・・



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使



協力(敬称略)

皇大神社(元伊勢内宮) 〒620-0323 京都府福知山市大江町内宮217 電話:0773-56-1011



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。  



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ZIPANG-5 TOKIO 2020

2020年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、神社仏閣、祭礼、伝統芸能、風習、匠の技の美、世界遺産、日本遺産、国宝等サイトを通じて平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

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