ZIPANG-5 TOKIO 2020「第一回日本和文化グランプリ」結果発表! 主催(一社)日本和文化振興プロジェクト

自然と和の伝統文化を守る 京都『貴船』川床

貴船神社の神主を仰せつかっていた先代兵衛が、御参拝客に近隣の山菜や川魚を使った料理をふるまったことから始る料理旅館。

京都 奧貴船 料理旅館 「兵衛」 川床にて(編集局イメージ)


プロジェクトの目的と趣旨

先ずは、関連各分野の企業、協会、自治体が協業し、持続可能な日本の伝統文化発展の仕組みを構築・確立するため、更にグローバルな視野が必要不可欠であります。


2020年5月に設立した一般社団法人 日本和文化振興プロジェクト(所在地:東京都中央区、代表理事:近藤誠一)は、「第一回日本和文化グランプリ」を開催し、計8作品の受賞を決定しました。今後は販売拡大サポートなどを提供し文化の普及に努めてまいります。

「ロゴマーク」は 、当会の旗印として、これからも益々今後への期待と誇りを持ち、活躍していく願いがこめられております。  


元文化庁長官の近藤誠一が陣頭指揮をとり、副代表にユナイテッドアローズ名誉会長 重松理と、400年の歴史を誇る日本橋伊場仙14代目当主 吉田誠男が脇を固めております。当プロジェクトは、国籍居住地問わず、和文化に携わる国内の企業・団体・個人を対象に、日本が誇る優れた作品を顕彰するイベントとして当グランプリを開催しました。


審査員にはシャネル合同会社 会長リシャールコラスや、モデルの秋元梢など、各界で活躍する18名が務め、130点の応募作品から栄えある8作品が選出されました。


次回プロジェクトへの方向姓と予定

今後はオンライン発表会やトークセッションを計画し、受賞者に対しての需要拡大につながるフォローを具体的に実施。和文化の担い手が持続的に活動できるよう継続してサポートしていくことになります。また、第二回の応募開始は2021年11月を予定しています。


グランプリ概要


受賞結果

■■ グランプリ/Grand Prix ■■ 副賞…50万円


 

木桶「Wave」シリーズ(左)・「 YORISIRO」シリーズ(右)
中川木工芸比良工房
中川周士 鈴木大樹 斎藤皇輝 大原弘也 亘章吾


【 作品概要 】

中川木工芸比良工房は、自然の持つ造形美と人が作る造形美のどちらをも大切に、700年以上続く木桶の箍締め技法を用いた作品制作をしている。

感覚的な制作を感じさせつつ実際は緻密な計算と論理に裏打ちされた「Wave」シリーズは、テコの原理を使うことで上方にタガをなくし自由な波型を表現。

また「YORISIRO」シリーズは、木の自然な曲がりをそのまま表現することで割れやゆがみを起こさないように木桶として再構築し、人には作り出せない造形美をそのままに作品として成立させている。


【 講評 】

杉の木が育つ時の自然な造形をそのまま器にする感性と技術的な力量が生み出した本作は、審査会場において圧倒的なオーラを放っていた。

今までの桶を作る技術とは全く違うコンセプトで新しい造形美を生み出したことは、日本の工芸力の底力でもある。

正円ではない揺らぎを持つ二種類の表現展開を発表しているが、いずれも姿と佇まいが美しく、第1回目となる展覧会のグランプリとして実にふさわしい秀作である。



中川周士(中川木工芸比良工房)

京都精華大学芸術学部造形学科を卒業後、父 中川清司(重要無形文化財保持者・人間国宝)に師事。京都造形芸術大学非常勤講師を経て2003年滋賀県大津市に自身の工房、中川木工芸比良工房を開く。国内外の展覧会へ精力的に出品し入賞多数。


【 受賞者コメント】

日本和文化グランプリの最初の受賞者に選んでいただき大変光栄に感じています。日本の和文化は古くて新しい精神性を持っており、変化の激しい現代社会で迷った時の道しるべともなりえるものと考えています。これからも受賞に恥じないように和文化振興の一助になるように頑張ります。



■■ 準グランプリ/Semi-grand Prix ■■ 副賞…10万円


 

書のキュビズム「自然体」
紫舟アトリエ 紫舟


【 講評 】

書を立体にする。この作家は長きにわたりこの独自の表現に取り組み、国内外で活躍をし、多くの成果を挙げている。今回出品された作品はその中の一作である。書は紙、布、板などに墨を持って書く平面芸術であるが、元は骨や亀の甲羅、石、金属などに彫りを入れたもので立体芸術なのである。字を読まずとも空間そのものが美しく存在する本作は最後までグランプリを争った優作である。



■■ 優秀賞/Excellent Award ■■ 副賞…各5万円


 

京くみひも 三軸組織®「孔雀皇貴」
有限会社綵巧 室門耕一郎


【 講評 】

正倉院に伝わる組帯は「唐組平緒」日本最後の帯であり、その技法と美意識を現代に展開した本作は、気品高く、美しい。八寸の名古屋帯用の大型の機械を駆使して、工芸技術を現代に合わせ、発展させているのは素晴らしい。色のグラデーションを考えて組み上げられた本作は、美の本質とは何かを提案している。



 

構造システム「組子耐力壁」
株式会社土佐組子 岩本大輔


【 講評 】

釘を使わずに削られた棒材を組み合わせる伝統的な組子技法を使い、建築の壁に構造的な提案をしているところが高く評価された。この骨組みで作り上げられた壁面は格子の模様を新鮮な表現とし、開放的で現代的な空間美を作り上げている。自然素材の木を用いて、伝統的な技術を未来への提案としているところが素晴らしい。




磁器「ゆらぎ」
樽田裕史


【 講評 】

本作はとにかく美しい。蛍手という中国明時代の本来の技法は小さな丸い穴を開けるだけなのだが、薄く轆轤成型した器に大きく弧を描くようにスリットで穴を開けるのは困難な技である。そこに透明釉を充填させて、器を完成させている。形も自分の中で昇華したもので、青白磁釉に光が差し込む造形は実に見事である。




漆芸「湛える」
青木伸介


【 講評 】

乾漆技法で作られた器はゆったりとした造形美を持ち、おおらかである。本作は内側を黒漆で塗り重ねた艶と、外側の和紙肌との対比が、見るものに大きな感動を与える。和紙は広島の大竹和紙であり、その荒い肌に漆を染み込ませるように何度も塗り重ねている。自然な繊維の凹凸が優しい光となり、使うたびに美しさを増す作品である。



■■ 学生賞/Excellent Student Award ■■ 副賞…5万円



写真フレーム「KOZAI」
野村涼平


【 講評 】

京都の町屋は年間多くが壊されその廃材の量が夥しく、焼却処分されてしまうことに心を痛めた作者は、廃材とな った木材を使い額縁や家具にすることを展開している。それを新しくなった建築空間にまた飾ることで、その素材が時空を超えて生きていくのである。サイズも素材も何もかも違うものを合わせ、そこに炎を当てる焼き杉技法などにより作られた姿には、時代を超えた神々しさを感じる。



■■ 特別賞/Special Award ■■



東海女性若手職人グループ「凛九」


【 講評 】

今回の展覧会では考えていなかった応募内容だが、その取り組みに夢があり、9人の個性が絡み合って大きく発展をしている姿に、審査員一同何らかの形で評価をしたいということで、特別賞とした。若い女性が伝統の技の世界に踏み込み、技法を受け継ぎ、女性の視点で創作し、未来へ引き継ごうとしていることは頼もしい。これまでの様々な場面での発表活動が高く評価をされていること、今後に期待することが大である。


審査風景



受賞評価総論

<審査委員長 三田村 有純>

第一回の応募に実に多くの方、さまざまな作品群が集まりました。和文化はあらゆる分野にわたるために、出品していただく方もまた本グランプリを運営する側も、まだまだ終息していない不安定な時期と重なり、手探りの状態が続いていました。

ここに入選者と受賞者を発表できることを関係している皆様に深く感謝申しあげます。
受賞した作品は和の心を踏まえ、伝統の技法を自己のものとし、新しい表現を模索したもので、実に頼もしく思っています。

日本の未来が溢れているこれらの作品は世界へと、新たな日本の和文化の発信となるもです。伝統を踏まえて創新している作品を皆様に見ていただきたく思います。


受賞特典

■ 指定のロゴマークを使用権利の付与

■ 販路拡大のサポート

1. 日本服飾文化振興財団のセミナールームでの、展示商談会の無料開催

2. ファッション・工芸・アート分野の各大手会社への、推薦並びに窓口紹介

3. 店頭での販売サポート、POPUPショップ等出店

■ 受賞作品には以下のサポートを計画しております。

合同展示発表会
日本服飾文化振興財団ショールーム(2022年1月以降)

入選作品展示
日本橋室町コレド3(2021年11月初旬)

羽田空港第二ターミナル「和蔵場」(2021年11月以降)

入選/最終審査エントリー 作家作品展示販売
UNITED ARROWS 六本木ヒルズ店 IN SHOP「順理庵」(2021年11月以降)
銀座「順理庵」本店(2022年1月以降)
羽田空港国際線エリア内(2022年4 ~ 5月頃) 



第2回 日本和文化グランプリ 案内


・募集テーマ 後日発表

・応募期間 2021年11月1日~ 2022年3月末日(予定)

・募集対象ジャンル 衣/食/住/美術工芸
服飾/和小物/染物/テキスタイル/金属/漆/陶磁器/木工/竹工芸/ガラス/リビングダイニング/インテリア/アート作品/建築/その他/に該当するプロダクト(日本の美意識を表現し優れた技法を駆使したものに限る)


日本和文化グランプリ審査委員



審査委員長

三田村有純 東京藝術大学参与、名誉教授/漆芸家/日展理事

審査委員

リシャールコラス シャネル合同会社 会長
秋元梢 モデル
秋元雄史 練馬区立美術館館長
上杉孝久 日本食文化会議理事長/上杉子爵家九代目当主
襟川文恵 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団/横浜美術館渉外担当リーダー
大倉源次郎 能楽小鼓方大倉流十六世宗家
片平秀貴 丸の内ブランドフォーラム代表
田中里沙 事業構想大学院大学学長
長谷川祐子 金沢21世紀美術館館長/東京藝術大学大学院教授
堀越英嗣 芝浦工業大学名誉教授/建築家 堀越英嗣ARCHITECT 5 代表


 

編集後記

だいぶ、むかしの話になるけれど…インテリア・建築デザイン、産業、教育に携わってきたものとして、このたぐいの記事にお目にかかると、思わず目を凝らしてしまう。

特に日本和文化振興プロジェクトとなると、そのニュアンスは伝統を守るというよりも、揺るぎなき、一本筋の通った古きを保ちながら、新奇を見出す手法であろうか?

それは単に視覚的にどうこうではない筈だ。
芭蕉翁が残した理念を今、思い起こすとそれは「不易流行」であった。

これを形のあるものにあて嵌めるのである。しかし…それは目に見えない点にあるのかも知れない。 第二回目以降には、この分野の応募・入賞作品がどのような方向性を示すのか??

興味しんしんである。  



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使



協力(敬称略)

奧貴船 料理旅館「兵衛」
〒601-1112 京都市左京区鞍馬貴船町101番地 / 電話:075-741-3066  



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。



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ZIPANG-5 TOKIO 2020

2020年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、神社仏閣、祭礼、伝統芸能、風習、匠の技の美、世界遺産、日本遺産、国宝等サイトを通じて平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

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